コンセプトとしてのイルカ

「タカ」と「ワシ」を漢字で書けるか? 書ける人がいて、書けない人がいる。書けないなら、ワードで“taka”“washi”と入力する。「鷹」と「鷲」という漢字に変換される。ちなみに、英語なら“hawk”“eagle”だ。自分は書けないけれど、漢字を示されたら認識できる。
では、写真を見てタカとワシを識別できるか?

コンセプトとしてのイルカ タカ
この鳥の写真には一応タカというキャプションが付されている。しかし、タカもワシもタカ目タカ科だ。両者を比較せずに個体識別するのはかなり難しいらしい。一般的に大型のものをワシと呼ぶのだけれど、一般人だと真剣に観察しても区別はつきにくい。

このことからわかるように、はじめに「野生の生態としてのカテゴリー」があるわけではない。あくまでもコンセプトとしての、人為的な見立てにすぎない。

コンセプトとしてのイルカ イルカ
イルカとクジラという名称がある。イルカもクジラも哺乳綱クジラ目である。階級を一つ下ってマイルカ科に注目すると、ここに追い込み漁の対象となるイルカやクジラがすべて含まれる。体躯の大きさによって、イルカとクジラが分けられる。つまり、人が生み出したコンセプトである。

コンセプトとしてのイルカ 本
『イルカを食べちゃダメですか?』という書物がある。日本の捕鯨文化擁護論である。出版されておよそ五年。イルカを巡る世界世論はまたもや日本への新たな逆風となっっている。

イルカを食べたらダメですか?
イルカを追い込んだらダメですか?
イルカを生け捕りしたらダメですか?
イルカを飼い馴らしたらダメですか?
そして、やがてこうなるだろう。
イルカを見てもダメですか?

☆     ☆     ☆

『噴版  惡魔の辭典』というギャグの定義集がある。そこに【クジラ】という見出しがあり、編著者が定義を試みている。

地球上で最も巨大な生物であり、人類はこれに「食欲」を感ずる一派と、「愛」を感ずる一派に大別される。前者は間もなくこれの養殖を主張しはじめ、後者はこれの国際連合加入を主張しはじめるであろうと言われている。(別役実)

諸外国の人々が、日本人をいじめようと考える際、ひきあいにだすのにもっとも都合のいい動物。(横田順彌)

☆     ☆     ☆

何を食材としてきたか、そして今何を食材にしているのか。かつては人は選ぶことなどできず、風土的条件に支配されてきた。魚が好きだから、肉が好きだからなどという嗜好の前に、魚を、肉を食べざるをえなかった事情があったのである。そして、そういう食習慣が食文化を生み出した。

食文化とは民族固有のコンセプトなのである。どの動物を愛玩するか、または食糧とするか、どの動物を家畜とするか、または野生のまま生かすのか、あるいは見世物にするのかしないのか……。世界標準のものさしが必要なのか、ありうるのか……。重さや長さを測るような簡単な話ではない。

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岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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