一(声、歩、助、言、etc.)

「あと一つ」や「もう一つ」を加えるかどうかは悩ましい。下手をするとたった一つが過剰になりかねない。点睛が画龍を台無しにすることなきにしもあらずだ。その一声が大きなお世話になったり、その一助が余計なお節介になったり。

躊躇していてはいけないと思って一歩踏み出したら、とんでもないことになる。逆に、慎重にあと一言を控えたら意味が伝わらない。あと一つ、もう一つの匙加減で道筋も結果も変わる。決断には過不足がついて回る。

さあどうしたものだろうと悩んでいると、次の一つは出てこない。つまり、悩みはおおむね不足を招くことになる。発言に関して言えば、舌禍事件が相次ぐとあと一言が控えられる。かと言って、不足なら説明責任を果たしていないと咎められる。

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美意識からか、何事も控えめで過剰にならぬように振る舞う人がいる。「過ぎたるは及ばざるがごとし」に落ち着くばかりではつまらない。たまには「大は小を兼ねる」に従ってみる。取り返しがつかない事態を招くかもしれないが、それも一つの覚悟のありようではないか。

もう一声掛ける、もう一歩前に出る、もう一助とばかり手を差し伸べれば、その時点で何がしかの変化を感知できる。ああ、オーバースペックだったのかと反省もできる。他方、不足というのはその時その場では何事も起こらず、結果は後々になってわかる。その時に知らん顔するほうが無責任である。

あと一言のおかげでいいこともあったし、そのせいで面倒なことにもなった。そのつど判断するだけの才もないので、迷ったら一言することにしている。とりわけ、冗談やギャグはその場で言っておくのが旬。すべることもあるが、ウケることもあるのだ。言わなければウケることはない。

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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