都会から「まち」へ

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都会の断片のほとんどが意味を失ってしまったかのようだ。
都会は意味を示さないまま生き長らえていくつもりのようだ。

断片を必死に繋いでも全貌を現わす気配はない。ぼくは苛立つ。
苛立ちに呼応して、都会も焦燥感を募らせながら鈍い輝きを放つ。

今住むこの都会とどのように折り合えばいいのか、ずっと考えてきた。
折り合えばその正体がうまく暴けるのだろうか、ずっと自問してきた。

いったいどうすれば都会を知ることができるのか。
アスファルトを引き剥がせばその姿は見えるのか。

人工的な覆いの下に眠る土はもはやかつての土ではない。
空気に触れても土が懐かしい匂いを放つことは決してない。

ブラタモリのように地形を現場で検証しながら歩いてみるべきか。
ピースを組み合わせたら都会のジグゾーバズルは完成するのか。

歩くだけならいつも数千歩や一万歩は歩いているのだ。
そぞろ歩きしながら見えざるものを見ようとしているのだ。

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ある日、雑居地帯のように扱ってきた都会を「まち」と呼び変えることにした。
その日から、都会は手招きするように親しげな表情を浮かべるようになった。

投稿者:

proconcept

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

「都会から「まち」へ」への2件のフィードバック

  1. 気分転換にご利用下さい。
    WEB小説「北円堂の秘密」を知ってますか。
    グーグルやスマホでヒットし、小一時間で読めます。
    その1からラストまで無料です。
    少し難解ですが歴史ミステリーとして面白いです。
    北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。
    読めば歴史探偵の気分を味わえます。
    気が向いたらご一読下さいませ。
    重複、既読ならご免なさい。

    1. どなた様か存じ上げませんが、情報ありがとうございます。
      ここしばらく小説というものを読んでいませんし、ミステリーはもう二十代前半からとんと縁がありません。
      せっかくの情報提供ですので、仕事が一段落したら開いてみます。

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