9月24日月曜日の今夜は十五夜、中秋の名月。昨夜散歩中に見上げたのは十四日月、翌日に満月を控えた待宵の月だった。青みのかかった灰色の雲に乗っかっているように見えた。
月面を拡大すれば模様が浮かび上がる。模様は文化圏によって異なって見える。わが国では餅をつくうさぎが定番だが、ワニ、吠えるライオン、カニに見える国があり、本を読むおばあさんなどというのもある。想像の違いであり、つまるところ、コンセプトが一様でないことを意味している。
月のモノクロのイラストを見ると、土星という際立ったコンセプトを持つ星を除くと、月が太陽か他の惑星か判別しづらい。丸いというのはたいていの惑星に言えるから、固有のコンセプトにはならない。
しかし、黄色ではなく、また模様もなく、単純に白く描いた月でも、満ち欠けさえ示せば即座に月だとわかる。
新明解国語辞典を引けば「地球の衛星。太陽の光を受けて、(夜)輝く。太陽に対する位置によって、種種の形を見せながら、約一か月で地球を一周する」と書いてある。この文中の「種種の形を見せ」という箇所、つまり、満ち欠けが月の月ならではのコンセプトということになる。
コンセプトとは対象の最も特徴的または印象的な「概ね」を一言化したものである。ほとんどの場合、文化的に、または個性的に、捻り出されるものだ。おもしろいことに、月に関して言えば、地球上での共通コンセプトは満ち欠けなのである。