言いがかりや文句ばかり

想像以上に事態が長引いている。コロナである。もはやご丁寧に「新型コロナ」などと言わなくていい。すでに第5波と言うから、長引くという表現は生ぬるい。まだ感染拡大傾向にあるなら「こじれてしまっている」と言うべきか。厄介だが、個人で対処できることは限られている。

現実を受け止めるしかないが、受け止め方や反応はいろいろ、人もいろいろ。淡々と日々を送る人、じっと辛抱している人、開き直っている人、自暴自棄になっている人、ストレスをため込んでいる人、苛々を文句に換える人……。

この人、変わったなあと思う場面が増えた。これまでは温厚だったのに、相手不特定のまま言いがかりをつけたり文句を垂れたりするようになった人。何事にもハハハと笑い飛ばしたり大らかに処していたのに、今はSNSでもメールでも過激に吠えまくる人。わずか23行の言いがかりや文句だから、解決案も理由も特に書かれていない。

ステイホームでひきこもるのもストレスがたまる。仕事がキャンセルになる、延期になるのも当たり前。さっき電話があって、再来週の出張が10月以降に延びた。自分の思うようにならない。この機会に暮らしや生き方の見直しをしてみるのも一つの解決策である。一方、一部の人たちは、以前なら見過ごせた些事に不平をこぼし不満を募らせる。不平、不満は「不機嫌」と化し、やがて「不賛成」へと高じ、仮想敵と対立する。公開の場のクレーマーはたちが悪い。


本ブログに『世相批評』というカテゴリーを設けているが、理由付きの批評をしようと思ったら数行では無理で、経験的には少なくとも千字を要する。数行の世相批評ではモラルを欠くし、ことばを選ぶ余裕がない。ストレス解消のための自分勝手な言いがかりだけで終わる。それを主義主張だと思っているから、揚げ足を取っていちゃもんをつけ始めると止まらない。

ある種の素直な諦観がないと現状は曇って見えてしまう。企画研修でも一番難しいのは現状分析だ。企画初心者の分析のほとんどは現象面への文句に近い。現状の原因解明はかなりアバウトである。そんな思いつきのような分析からは解決策が出てくるはずもなく、仮に出てきたとしてもその出来は推して知るべしだ。と言うわけで、言いがかりや文句のメッセージが目に止まった瞬間、脳内シュレッダーで裁断している。

素人の評論は玄人の評論と違うべきであり、違うがゆえに素人の批評が意味を持つ。評論をなりわいとする批評家と違って、ぼくたちアマチュアの世相批評は言う人・書く人も聴く人・読む人も楽しまなくてはならない。言語的に過激になりがちなところをちょっと我慢して、ユーモアや愉快の味付けをしてみるのだ。

知人とのやりとりを元に本稿を書いたが、ユーモアや愉快の味付けができなかった。反省している。千字以上費やしても批評は容易ではない。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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