語句の断章(21) 会話・時間・金銭

一瞥するだけでは、会話・時間・金銭は異なる概念のように思われる。ところが、社会的規則性を求めるとき、これら三つの概念はかなりよく似てくる。どんなふうに似てくるかと言うと、いずれにおいても規則性を守らない人はルーズだと罵られて信頼を失う点である。

会話、時間、金銭は人間どうしの接点で機能する。もっともわかりやすい接点がコミュニケーションだ。他人に対して、ことばをバカ丁寧に使っても粗末に使っても接点が噛み合わない。両者がうまく接合する絶妙の調子というものがある。会話のリズムは人間関係性に欠かせない。

次に時間である。よく「自分だけの時間」という言い方をするが、それは一人でいるということにほかならない。そのとき、自宅にいてもカフェにいても時間に縛られることはないだろう。しかし、その時間から離れてある行為に向けてギアチェンジするとどうだろう、「ねばならない約束」に従わねばならなくなる。誰かや社会との約束事とは時間的規則である。時間とはある意味で社会における法なのである。

金銭にはコミュニケーションとよく似た「ギブ・アンド・テイク」があり、時間と同じように厳密な規則がある。不思議なことに、人と人の金銭授受の行為には振込・入金では見えない「通い合い」というものがある。

コミュニケーションにルーズ、時間にルーズ、金銭にルーズの三拍子が揃っている。しかも周囲からの信頼も失っている。にもかかわらず、そんな人間がある集団の輪の中心にいたり大勢の人たちの指導者として君臨したりしているのはなぜだろうか。理由は簡単である。取り巻く者たちも、三要素のいずれかを欠損しているからである。同病相哀れむように類は友を呼ぶ。

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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