やめてほしいことアラカルト

暑中見舞のシーズン。手書きの下手な文字で「暑ぅ~、お元気ですか?」という類のメッセージをしたためて毎年ハガキを送ってくれる人がいる。まず見舞ってくれることには感謝。それに字が下手なのも許せる。だが、誰かに念を押されなくても、暑さを重々承知しているので、猛暑や盛夏を倍増させるような「暑ぅ~」はやめてほしい。それに、その他大勢の方々にも一言。開口一番「お暑いですね」以外に何か挨拶のことばを交わしていただきたい。

たこ焼きや食いだおれを大阪の特徴の一つというニュアンスでPRするのなら許せる。だが、「たこ焼きイコール大阪名物」とか「食いだおれイコール大阪名物」などと、消すに消せない烙印を押すのはやめてほしい。大阪からはるか遠方に住んでいる知人は、「大阪人の主食はたこ焼き」という冗談を誰かに聞かされて鵜呑みにしているし、偽装された食品や衛生上お粗末なものを大阪人が食い、倒れることが「食いだおれ」の語源と信じている。

春先に道でばったり会った人がいる。数年ぶりの再会だった。久しぶりではあったが、特別に懐かしさを感じる相手ではない。だが、お茶に誘われた。別れ際に彼は右手の親指と小指を伸ばして耳にあてがい、いわゆる電話のポーズをしながら、「また、近いうちに連絡します」と告げた。それから数ヵ月経つが、電話もメールもない。愛想と儀礼の「連絡します」はまだ許せる。しかし、連絡する気もないのなら、あのとってつけたような大袈裟なポーズはやめてほしい。

たまに仲間と居酒屋に行くことがある。酒は強くも弱くもなくほどほどだが、一週間くらい飲まなくても平気だから酒好きの部類には入らない。居酒屋であれレストランであれ、「飲みに行く」のではなく「食べに行く」。ぼくに関して言えば、飲食ではなく「食飲」が正しい。だから「まずお飲み物のご注文からお願いします」はやめてほしい。食べたいものをじっくり選んでから、それに合った酒を決めたいのだ。食べ物も決めずに「とりあえずビール」なんていうのは食の文化度の低さを示すものだ。

プロ野球をテレビ観戦する。一打逆転という緊迫の場面。ピンチに交代した中継ぎ投手が手元を狂わせてデッドボール! そのとき十人中九人の解説者がこう言う、「当てられたバッターも痛いでしょうが、当てたほうのピッチャーはもっと痛いですね」。発想不足、表現不足、感性不足。あのコメント、やめてほしい。「解説者もマンネリでしょうが、聞いているほうはもっとマンネリです」。この言い方、おもしろくないでしょ?

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岡野勝志(おかのかつし) 1951年大阪生まれ 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター 岡野塾主宰 ヒューマンスキルをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。 マーケティング、コミュニケーションにまつわる企業や人

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