気の向くまま雑記

「気まぐれ雑記」を書く気になったが、先月と同じ題名では芸がないので、今回は「気の向くまま雑記」とした。次に書く時はまた一ひねりしなければならない。


ダリⅠ  「背徳的にして多角経営的、無政府主義者にして超現実主義者であるダリ、ルイス・ブニュエルと映画『アンダルシアの犬』や『黄金時代』を共同でつくったあのサルバドル・ダリをめぐる手紙の公刊は、何にもまして美味であるにちがいない」という一文がある。誰が書いているのか? ダリ自身である。ダリの『ダリとダリ』という本の「はじめに」の冒頭である。他人事のように堂々と書いているのがすごい。

ダリⅡ  二週間前に「日曜美術館」を観た。ダリのことばが紹介されていた。「もっとも写実的な絵がもっともシュールリアリズム」。そうかもしれない。たしかダリ自身が言ったと記憶しているが、コッペパンを精細に描けば描くほどレンガのように見えてしまうらしいのだ。ぼくにもそんな体験がある。写実的に描いたつもりの対象が別のものとして立ち現れてくる。それはまさにシュールだろう。

ヒルガオ  ルイス・ブニュエルと言えば、仏伊映画『昼顔』の監督でもある。主演はカトリーヌ・ドヌーヴ。アサガオしか知らなかった十代半ばの少年は初めてヒルガオの存在を知った。ところで、アサガオはヒルガオ科に属する。昼のほうが朝よりも大きな概念なのである。あのようなストーリーの映画の題名に『朝顔』は清々し過ぎる。『昼顔』のほうがあやしさが出るから、妥当なタイトルであった。

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ブラックフライデー  昨日のこと。遠目に頻繁な人の出入りが見えた。近づくと店内はごった返している。「50%OFF」が目に入る。疎い世界なので、飲み込みに時間がかかった。そうか、これが噂のブラックフライデーか……。しかし、「今日はサタデーではないか」と思いつつ、入ってみることにした。

冬である。オフィスのぼくの席はエアコンの位置から遠い。暖房を入れても寒いのである。だからスーツの上着を着たままデスクワークをする。カーデガンを置いていたこともあるが、どういうわけかしっくりこなかった。そんなこんなの思いがよぎって、オフィス用にこの一着を選んだ。定価12,900円の半額ということは……と暗算していたら、この商品は3,900円だった。なんと70%OFFだ。定価との差が大きい。そうか、それで“GAP”なのか。

ハピネス  ここまでの小見出しに合わせてカタカナで表記する。幸せは英語で“happiness”だが、昔から「ハピネス」の語感にあまり幸せを感じたことがない。たまに「ハッピネス」とも発音するが滑稽味が出てしまう。なお、「はっぴねす」と入力してもカタカナ変換してくれない。

いつもの寺の今月の標語に「幸せとはご恩を見つけること」とあった。幸せの代わりに「ハピネス」と書けば有難味が薄くなる。さて、幸せとはご恩を見つけることなのか。そうではないと思う。幸せは見つけるものではなく、感じるものではないか。幸せを感じる人が幸せになれるのではないか。

アメ  机の上にスーパーメントールののど飴がある。置いているだけでめったに口に放り込まない。喉が痛まないようにというおまじないみたいなものだ。机の上にアメ、外もアメ。外で用事があったが断念して引きこもることにした。音楽でも聴くか。どんな音楽を聴くか。雨の曲はどうだろう。

雨は歌詞になりやすく曲を付けやすそうである。調べてみればきっと雨をテーマにした歌はいくらでも出てくるに違いない。しかし、晴天はどうか。歌にしにくいのだろうか。青々とした空の歌は思い浮かばず、洗濯機の「青空」しか出てこない。青空が出てきたら「からまん棒」である。知っている人は知っている、知らない人は知らない。

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proconcept

岡野勝志(おかのかつし) 企画の総合シンクタンク「株式会社プロコンセプト研究所」所長 企画アイディエーター/岡野塾主宰 ヒューマンスキルとコミュニケーションをテーマにしたオリジナルの新講座を開発し、私塾・セミナー・ワークショップ・研修のレクチャラーをつとめる。

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